ストレスケア〜心身症について〜
心身症(しんしんしょう)とは、社会的・心理的な要因によって引き起こされる身体症状のことをいいます。
そもそもストレス反応自体は、迫り来る危険(ストレス)に対して脳がそれを感知し、それに対処できるように自律神経系、ホルモン系等を介して、血圧や呼吸数、血糖値を上げるなど、生きていく上で必要な反射作用なのですが、問題が生じるのは過剰なストレス反応を放置していて元の調和状態に戻れなくなったときです。
元の調和状態に戻れないと高血圧症、糖尿病、消化器潰瘍などを引き起こす場合すらあり、一度崩れたバランスを自力で回復するのは中々簡単ではありません。
自律神経系の指令系統は、大脳で感知された情報を受け取り、指令を出すコントロールセンターである視床下部(ししょうかぶ)で始まり、その指令は自律神経(節)を介して内臓・血管に届けられ作用します。そしてその内臓・血管の状況は逆のルートを通じて、また視床下部にフィードバックされます。
これを会社にたとえると、指令を出す視床下部が本社で、自律神経(節)が支社、内臓・血管が実際に仕事をする現場となります。もし過剰なストレスがかかり続けるような状況に置かれると、本社(視床下部)からは現場(内臓・血管)で処理できないほどの指令が出され続け、やがて現場(内臓・血管)は破綻(機能低下・不全)し、本社(視床下部)へも「仕事ができてませ〜ん」というフィードバックが上がります。要求した仕事をこなさない現場(内臓・血管)に対し、さらに本社(視床下部)は指令を出す…、という悪循環に陥ります。
この自律神経系のループが破綻するころには、医師から診断をもらうほどの状態になっていて(内臓疾患、自律神経失調症、内分泌疾患等)中々自力で回復するのは大変なのですが、その手前の段階(未病の段階)でも、お仕事や学校へ行くのがかなり辛くなってきていると思います。
さらに視床下部は自律神経系・ホルモン系の本社であるとともに、情動行動(闘うor逃げる、喜んで接近するなど)の本社も兼ねる総合商社でもあるため、自律神経系の暴走は、心のスピードの制御をも失わせ、イラつき、衝動的で思いやりのない行動を取らせてしまいます。
自律神経系の調整
未病(みびょう):病気が症状として表面化してはいないが、その要素は体内に存在し、病気に向かっている状態、中医学の概念。
◆参考:
「標準生理学 第5版」 本郷利憲 監/医学書院
「心身医学標準テキスト 第2版」久保千春 編/医学書院
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「やけっぱち!」